オフィスや工場、研究施設では、関係者以外を建物内へ入れないことが基本的なセキュリティ対策になります。しかし、入口に鍵やカードリーダーを設置するだけでは、正規利用者になりすました人物や、利用者の後ろから侵入する部外者まで完全に排除することは容易ではありません。
そこで見直したいのが、入口を「開けるかどうか」だけでなく、「誰が、どの権限で、どのように通過したのか」まで管理する考え方です。入退室管理システムを活用すれば、認証方法と入館権限を組み合わせ、施設ごとの運用に合わせたアクセス管理を構築できます。
カードを持っているだけでは本人確認にならない
ICカードを利用した入館では、登録されたカードが読み取られれば扉を解錠できます。運用がシンプルである一方、カードそのものを第三者へ渡せる点には注意が必要です。
例えば、従業員がカードを貸した場合、記録上は正規のカードによる入館として処理されます。つまり「正しい認証情報を持っていること」と「登録された本人であること」は、必ずしも同じではありません。
この差を埋める方法の一つが顔認証です。顔を本人確認の情報として利用すれば、物理的なカードを他人に渡すことによる成りすましを抑えやすくなります。Hikvision Japanのアクセスコントロール製品では、顔認証ターミナルのほか、カードリーダーやセキュリティゲートなどを展開しています。
入館者の属性に合わせて権限を分ける
すべての利用者に同じ通行権限を与えることも、施設管理上のリスクになります。例えば、一般従業員は執務エリアまで、管理職は管理区域まで、外部業者は指定された作業場所までというように、必要な範囲だけを許可する方法が考えられます。
アクセスコントロールでは、利用者をグループ化して異なるアクセス権限を設定する構成が可能です。オフィスビル向けの提案資料でも、従業員をグループ分けし、異なるアクセス権限を付与する運用が示されています。
ここで重要なのは、入退館システムを単なる「電子錠の操作装置」として扱わないことです。誰にどこまでの権限を与えるのかを先に整理すれば、機密情報を扱う部屋や設備エリアなど、特に保護したい場所だけ管理レベルを高めることができます。
正規入館の後に起きる「共連れ」も別に考える
本人認証を強化しても、入口の課題がすべて解決するわけではありません。典型的なのが、正規利用者の後ろについて別の人物がそのまま入館する「共連れ」です。
このケースでは、先に通過した人物は正しく認証されています。そのため、認証結果だけを確認しても、後ろから入った人物が許可された利用者なのかどうかを判断できません。
対策には、認証端末だけでなく、ゲートやカメラなど周辺設備との組み合わせが必要になります。Hikvision Japanはオフィスビル向けソリューションで、アクセスコントロールに加えて訪問者管理や共連れ検知を紹介しています。訪問者には一時利用可能なQRコードを発行し、入退館履歴を確認する運用も示されています。
つまり、入館者本人を確認する仕組みと、入口を通過する人数や状況を確認する仕組みは分けて考える必要があります。この視点を持つことで、「認証は成功したのに部外者が入ってしまう」という盲点を減らせます。
記録を「後から調べる情報」にしない
入館履歴は、問題が起きた後に確認するだけの資料ではありません。日常的に活用すれば、施設の運用状況を把握する手掛かりになります。
例えば、通常とは異なる時間帯の入館、権限外エリアへのアクセス、登録情報と実際の利用状況の不一致などを確認すれば、管理者はアクセス権限を見直すきっかけを得られます。
顔認証端末の中には、大量の利用者情報やイベント履歴を保持できる製品もあります。例えばDS-K1T673TDX-E1は、顔登録容量100,000件、カード容量500,000枚、イベント容量150,000件に対応しています。
さらに、製品によっては顔認証だけでなくカードなど複数の認証方式を利用できます。施設の入口ごとに必要なセキュリティレベルが異なる場合でも、同じ考え方の中で認証方法を組み合わせられる点が実務上の利点です。
「誰を入れるか」から「どう管理するか」へ
成りすましと部外者侵入を防ぐために重要なのは、認証機器を高機能なものへ置き換えることだけではありません。利用者の区分、入館できる場所、訪問者への対応、共連れへの対策、履歴の確認方法まで含めて入口の運用を設計する必要があります。
その中で、入 退 館 システムは「扉を開ける装置」から「施設へのアクセスを判断する仕組み」へ役割を広げられます。顔認証を使えば本人性を確認しやすくなり、カードやQRコードなどを併用すれば、従業員と訪問者で異なる運用にも対応できます。さらにセキュリティゲートや映像監視を組み合わせれば、認証後の状況まで確認しやすくなります。
Hikvision Japanのアクセスコントロール製品では、顔認証ターミナル、カード認証、セキュリティゲート、ビデオインターコムなどを組み合わせられる構成が用意されています。また、顔認証ターミナルはCCTVシステムとの連携にも対応しています。
最終的に求められるのは、入口を閉めることではなく、正規利用者と部外者を継続的に区別できる環境です。入 退 館 システムを認証だけで終わらせず、権限設定や訪問者対応、共連れ対策、履歴確認まで含めて設計することで、成りすまし入館と不正侵入の両方に対応しやすくなります。